第10回:マルクト(王国)× 碧(循環)
1. セフィラの基本情報
- ヘブライ語表記:Malkuth(מלכות)
- 位置:セフィロト最下部(中央の柱の末端)
- 柱:なし(すべての柱の統合点)
- 対応する色:黄金、茶色、黒、碧
- 対応する惑星:地球(地)
- 神名:アドナイ・メレク(Adonai Melekh)
2. 正統カバラでの意味
マルクトは「王国」「現実世界」「具現化されたすべて」を意味するセフィラ。
上位のすべての力が流れ込んだ結果として、世界に顕現する「かたちの世界」。
- 神的な流れの終着点にして、出発点でもある
- 肉体・大地・物質・時間・空間すべてを含む
- 他のセフィラとは異なり、「受け取り、表す」ことに特化している
マルクトは、「世界そのもの」であり、「今ここに在ること」を担保する存在である。
3. ニルス論との接点
ニルス論における「碧(循環)」は、感情や思考の“流れ”を整え、
次の段階へとつなげていく持続的な力。
マルクトと碧は、「現象の連続性」を担うという点で強く重なり合う。
- 受け取ったものを、滞らせずに回し続ける
- 「変化しながら保たれる」という動的安定
- 物質のレベルで「巡り」を起こす現実の流体
マルクトは、すべての力が着地した場所。
碧は、その場所を淀ませずに“めぐらせる”智慧である。
4. 象徴的イメージ
- 大地の上をめぐる風と水
- 呼吸を繰り返す身体
- 複雑な営みが交差する街のリズム
🌀 それは「動き続ける世界そのもの」。
形あるものの裏で、絶えず働いている“循環の力”。
5. まとめと問いかけ
マルクトは、目に見えるすべてを引き受ける「現実の受け皿」。
そこに碧(循環)の力が重なることで、
世界は“淀まずに巡る場”として、生き続けることができる。
- あなたの中に流れている「循環」は、どこに感じる?
- 現実のなかで“滞っているもの”はない?
- 世界のめぐりを、あなた自身がどう生み出せるだろう?
この10回の旅を経て、次はすべての力と色をふたたび統合し、
「新しい樹」へと昇華していこう。