第2章:「広げる力(祈願)」と「並ぶ力(整列)」

──祈りが世界を包み、秩序が世界を形づくる──

宇宙がはじまったときに現れたのは、「進める力(意志)」と「留まる力(思考)」でした。それはおたがいに押し合い、支え合いながら、ひとつの関係として存在していました。そして、このふたつの力が交差したとき、新たに生まれたのが――「広げる力(萌)」と「並ぶ力(青)」です。

🟢 広げる力(萌)── 祈るように、世界を広げる

「広げる力」は、進める力に留まる力が加わることで生まれます。動こうとするエネルギーに、留まるための視点が重なることで、その動きは一方向ではなく、空間全体に向かって広がっていく力になります。たとえば風、音、光、波――どれも、はっきりした形があるわけではないけれど、見えないままにどこまでも広がっていく存在です。

この力は「誰かに届くかどうかわからなくても、想いを外へ届けようとする」ような力。まるで、誰かに届くことを願う「祈り」のようなものです。この力は「自然」や「空間」と深くつながっています。

🌱 祈願と整列 🌊 振動と粒子 🌌 空間と時間 🍃 自然と科学 🎶 和音と単音 🔊 音響と言葉
この対の中で、「広げる力」は「祈願・振動・空間・自然・和音・音響」にあたります。

広げる力は、のちに裏返って「引き込む力(想像)」を生む土台にもなっていきます。けれど今はまだ、それは名前のない“揺らぎ”の段階です。のちに「感情」や「思念」になる前の、もっと外側にある祈りのかたち。それが「広げる力(萌)」です。

🔷 並ぶ力(青)── 世界を分けて、形づくる

「並ぶ力」は、留まる力に進める力が加わることで生まれます。じっと見つめる力が、動き出すことで、順番や秩序があらわれてくるのです。これが「時間」の感覚のはじまりでもあります。ただ静かに存在していたものが、「並ぶ」ことによって前後や意味を持ちはじめるのです。

並ぶ力は、世界を区切り、整え、わける力です。ばらばらのものを「並べる」ことで、私たちはそれを理解できるようになります。たとえば言葉。言葉は音が区切られ、順番に並ぶことで“意味”を持ちます。「音響」が「言葉」へと変わるのは、この「並ぶ力」が働くからです。

並ぶ力は、「整列・粒子・時間・科学・単音・言葉」に対応します。世界は広げるだけでは混沌のままです。そこに並ぶ力が加わることで、かたちや構造が生まれるのです。

🌀 空間と時間のはじまり

ニルス論では、「空間」と「時間」はこのふたつの力から生まれたと考えます。

進める力+留まる力 ⇒ 広げる力 ⇒ 空間
留まる力+進める力 ⇒ 並ぶ力 ⇒ 時間

広げる力は、祈りのように外へと働きかけ、空間を生み出します。
並ぶ力は、順序や関係性を生み出して時間をつくります。

このふたつが揃ってはじめて、宇宙には「どこかに在る」「いつか起きる」という現象が成り立ちます。

🌱 世界がかたちづくられるとき

広げる力は「感じる世界」の入口です。並ぶ力は「理解する世界」の入口です。このふたつの力がそろうことで、世界はただの“可能性”から“現象”へと変わっていきます。それは、まだ言葉にならない感覚が、少しずつ意味を持っていくような変化です。

そしてこのふたつの力は、それぞれ裏返っていくことで、もっと深い内なる世界――想像や模倣――へとつながっていきます。それが次の章で語られる、「重ねる力(橙)」と「引き込む力(紫)」です。

🏠 ホームに戻る